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< 第七章 >
「翌日の木曜日の午前中には体育の授業があり、僕は五十メートル・プールを何度か往復した」 | 「僕はピスタチオの殻をむきながら言った」 |
「そして私にばっちり見せつけるのよ、あれを。そそり立ったのを。私すぐ目を伏せるんだけど、それでもちらっと見えちゃうのよね」 | 「そこにあるものはひとつの生命の弱々しい微かな痕跡だった。それは家具やら建具やらを全部運び出されて解体されるのを待っているだけの古びた家屋のようなものだった」 |
「紙袋の底の方には病人のための食べものが入っていた。グレープフルーツが二個とフルーツ・ゼリーとキウリが三本。「キウリ?」と緑がびっくりしたような あきれた声を出した」 | 「毛皮のコートとかシャルル・ジュールダンの靴とか絹の下着とか」 |
「本当?すごく楽しみ。SMのやつに行きましょうね。」 | 「横向きにぐったりと寝そべり、点滴の針のささった左腕をだらんとのばしたまま身動きひとつしなかった」 |
「みんな私のことを非難がましい目で見て『ミドリちゃんは元気でいいわねえ』だもの。みんなは私のことを荷車引いてるロバか何かみたいに思ってるのかしら」 | 「スプーンでスープをすくって飲ませた」 |
「そしてアイロンがけ」 | 「電話をとった。冷たい雨が音もなく降っていた。お父さんがさっき死んじゃったの、と小さな静かな声で緑が言った」 |
< 第八章 >
「僕は自分で湯をわかし、ティー・バッグで紅茶を作って飲んだ。スペイン人の女性が例文を読みあげた。「こんなひどい雨ははじめてですわ。バルセロナでは橋がいくつも流されました」」 | 「ハツミさんはテリーヌを小さく切ってフォークで口に運びながら言った」 |
「もちろん俺だって迷うし傷つく。ただそれは訓練によって軽減することが可能なんだよ。鼠だって電気ショックを与えれば傷つくことの少ない道を選ぶようになる」 | 「彼の方は同じプロセスでどんどん上に進んで行っているのに、僕の方はずっと堂々めぐりしてるんです。そしてすごく空しくなるんです。要するにシステムそのものが違うんです」 |
「日の丸の旗は風がないせいで元老院議員のトーガの裾みたいにくしゃっとポールに絡みついたままぴくりとも動かなかった」 | 「僕は一ゲーム終えて店内の自動販売機でペプシコーラを買って飲むまで、キズキのことを思いだしもしませんでした」 |
「日曜日の朝、僕はいつものように机に向って直子への手紙を書いた。大きなカップでコーヒーを飲み、マイルス・デイヴィスの古いレコードを聴きながら、長い手紙を書いた」 |
< 第九章 >
「私の二十歳はなんだかひどいもののまま終ってしまいそうだけれど、あなたが私のぶんもあわせたくらい幸せになってくれると嬉しいです。これ本当よ。このセーターは私とレイコさんが半分ずつ編みました」 | 「君が大好きだよ、ミドリ」 「どれくらい好き?」 「春の熊くらい好きだよ」 「春の熊?」 |
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